九州コミティアに行った話と創作計画

3月10日に北九州で開催された九州コミティアに一般参加してきました。コロナ禍以後としては規制緩和後で初の大規模スペースを確保しての開催だったとのことで、久々に広々とした西日本総合展示場でのイベントに行ったような気がします。そもそもここ数年、同人誌即売会というものが地元から消滅状態ということもあり、それの上からコロナ禍を被ったこともあって、同人誌即売会に張り切って行ったのは本当に数年ぶりの話。色々と楽しかったですし、発見もたくさんありましたが、財布の紐はガバガバになってしまいました。同人誌即売会あるあるのテンプレみたいでちょっと、ですが。

やはり、創作活動は「そこに創作物があってナンボ」だということを改めて認識しました。ウェブでも作品を作って公開することはできるものの、目の前でリアルにやり取りをする感覚というのはやはりウェブでは得られない栄養素があるように思う次第です。九州地区での創作オンリーイベントは現時点では九州コミティアのみで年一回の開催頻度とのことですが、次回に機会を得られれば参加も視野に入れておきたいと思った次第です。

「小さな創作エネルギーに注目が来る」時代らしい

ウェブで発表したふとした作品がバズって注目を得て、気がついたら出版社から本として出版されるというサクセスストーリーのような事例が昨今増えてきたと言います。コミティアといえば「編集部出張原稿チェック」というのが定説とのことですが、今回の九州でもあったようで、当日の同人誌や新作原稿の「編集チェック」イベントがあったとのこと。当日はスペース数が多かったためにサークル巡回にほぼ全てのリソースを持って行かれたのですが、コミティア名物になっているという「見本誌読書スペース」なども盛況だったとのこと。昨今は二次創作の方が注目されているといわれ続けているらしい同人誌界隈ですが、創作ジャンルも充分アツいと感じました。何より、コアでマニアックなジャンルは創作ジャンルならではの部分かと思う次第。

SNSの治安や創作物発表への風評被害など色々悩ましい状況と言われている昨今の創作ジャンル事情ですが、逆に既存メディアでは掬い上げられないマイナージャンルでも「バズって注目を得る」という下剋上のような事案が昨今は当たり前のようになり、固定視聴者層を得るという意味では創作ジャンルの隆盛はゆっくりではあるが確実に「到来している」部分ではあるようです。

そういえば、今や国会議員に名を連ねた赤松議員も会場にいました。新刊は秒で完売したらしく、「地方の創作委ベント後がこんなに大規模な熱量をもっていたとは」と驚いていました。前回までは確かに会議室側で開催していたと記憶しているのですが、今回は展覧スペース3棟分のスペースという破格の規模で開催していたので、多分主催側の方が一番驚いているまであるような気がします。

個人のエネルギーの可視化がすごい

スペースを徘徊するときに色々とスペースの方々と会話をしたのですが、今回は関東圏や関西圏の「コミティア常連組」と思われるサークルさんが遠路はるばる九州まで観光コミでやってきた形での参加が結構な数いたように思いました。また、地元で活動しているサークルさんも、いつもより「熱量多めの参加」をしていたようで、気合いの入った新刊を拝見する事が出来ました。今回の参加ジャンルは創作分野の中でもSNSにちなんだ創作物がかなり見受けられ、「何気ない日常も創作には使える」という事実を改めて再認識する機会になりました。無論、その他王道なマンガ作品や、このイベントでは定番化している趣味・評論系作品も多数ありました。

改めて、年2回のモンスターイベントと化した「コミックマーケット」では「可視化されにくい」ジャンルの「ロングテールのしっぽの部分」の熱量を見た気がしました。参加者母数が多すぎて可視化されにくいジャンルにも、これだけの創作エネルギーが存在するという事実を見たような気がします。創作ジャンル特化型のイベントで500サークル規模のイベントだと「しっかりと可視化できる」し、なおかつほぼ全てのスペースを巡回できるだけの時間的余裕もある。地方開催の創作イベントは年1~2回という頻度ですが、創作物を作る分に関してはそのくらいの周期の方が熱量を込めやすいというのも再認識できました。関東地区の「本家コミティア」はやはり1000サークル以上で開催もビッグサイトという超大規模会場なので「事前準備のエネルギー消費」もかなりキツいのですが、この規模はなかなかちょうど良い規模だと思った次第です。

また、サークルおよび企業参加サイドからも手応えのようなお話を聞くこともでき、「地方イベントだからこそできること」についても色々と意見を交換することも出来ました。これから「創作界隈の復興」は時間が掛かるものと思いますが、これだけの熱量を観測できるということはまだまだ復活の可能性は充分あると言えると思った次第です。

コロナ禍後の創作ネットワークの再生に

新刊の感想や当日の話題はまた改めて記事化するつもりですが、創作界隈のエネルギーはまだまだ増加の一途を辿っているものと思った次第です。ただ、形にして発表する場所がイマイチ不安定な状態で運営されていることや、インターネット媒体に公開することに関しての諸問題がまだかなり多く残っていること、それに加えて金銭授受が発生する趣味ということもあって税務問題などの周知など、創作界隈には「創作活動以外の諸問題」が実は多く潜んでいます。今回イベントに参加して思ったのは「熱量の高さに反して創作活動以外の諸問題の多さというジレンマ」がかなり存在しているのではないかという疑念でした。創作ジャンルということもあり、これらの諸問題の周知もまた「作品として昇華できる」のも楽しみのひとつでもありますが、即売会を中心に広がる「創作活動の『管轄外の』諸問題」は周知の余地があると感じた次第です。

また、今回のイベントの企業枠には印刷会社の関係者さまもいました。即売会で紙の本のニーズがなくなると印刷を介在するイベントのノウハウや関連した技術が失われるのではないかという懸念もあるとかで、紙見本や印刷見本の展示と共に熱いメッセージを聞くことが出来ました。こういった視点の情報も、何かしらの形で発信することができればと思いました。勿論、最新の技術的なトレンドを冠した企業さんの参加もありましたし、それらも相応に推していきたい次第ですが、かなりの比率が「温故知新で賄われている界隈」だからこそ「古い技術やノウハウの継承も大切にしていかなくてはならない」とも思った次第です。

願わくは、創作の炎を絶やさないために。なんちゃってクリエイターのはしくれではありますが、何かを「遺すための活動」に参加出来ればと思った次第です。新刊はこれから拝見します。

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